残暑厳しいこのころ、日中の散歩は控えて、設定温度26度の快適なリビングで氷をかじってくつろいでいるブヒたちは、完全に人間よりいい生活をしています。
うらやましさと妬みが半々です。
かといって一日中家の中にいるのも可哀そうなので、涼しくなる夕方に庭に出してやります。
でまあ6頭をいっせいに出すと、これまた各自それぞれ独自の行動をとります。
ひたすら地面の匂いを嗅ぎ続けているのや、葉っぱを食べて遊んでいるのや、シッコとウンコをしたら、さっさとリビングに戻ってねるのや、ほんといろいろです。
私も庭に出たついでに、草木に水をやります。
ホースでバーッと噴射するんですが、2頭だけものすごい勢いで水を追いかけるんです。
右に左に小気味よくまくと、まるで獲物を追いかける如く、親の仇を追いかける如く、半分飛びながら走り回ります。
2頭だけなんです。父親と次男坊です。
後の4頭は、逆に水を怖がって逃げていくか、全く無関心かです。
なんでこれほど違うのか。
兄弟でも違います。兄は恐がり、弟は大好き。
父親は以前、あまりにも反転とジャンプを繰り返すうちに足首をひねったらしく、しばらくビッコをひいてました。
それでも、庭に出ると、他の犬が遊んでも自分は遊ばず、水道の蛇口の前で、ずーっとお座りしています。
5分でも10分でも微動もせず、お座りをしてます。
すごい集中力です。
なぜなのか、みんな同じように育て、同じ環境で生きているのに、水に対して全く違った反応を示すのは。
思い当たることと言えば、蛇口の前でずーとお座りする犬は、小さいころほかの誰よりも手を焼いた犬でした。
生後60日ぐらいで我が家に来たんですが、まあ来た時からすごかったです。
なにがって、ずーっと3週間ぐらい泣きっぱなし。
泣くというより吠えるといってもよいほど。
先輩方3頭は、そのおかげでストレスがたまったみたいで、吐いて下痢して全員病院通いになりました。
それなりにブヒのことは経験も知識もあると自負している私としては、まだ引っ越して間が無いので、慣れるまでゆっくりと長い目で見てやろうとしました。
にもかかわらず、いっこうに吠え癖が収まらなくて、まわりのブヒもノイローゼ状態になり、さすがにやばいと思って1頭だけ別の部屋に隔離しました。
これは生まれつき問題のある犬かもしれないと思って、プロのトレーナーに診てもらいました。
結果は、「10段階で言えば上から3番目ぐらいで、全然問題はありません。いい子ですよ。」と褒められる始末。
かなりの金額を払いました。(10万越えです)
その後は、何をどうしたか覚えてないほどいろいろなことをしました。
ほんとに一生懸命に接しました。
歯を立てられたことも一度や二度ではなかったと思います。
必死でした。
もしこの子がまともにならなかったら、我が家のブヒグループが崩壊します。
なんとしても我が家になじんでもらわないと。
1カ月たち2カ月たち、少しずつ解り合えてきて、しつけ的なトレーニングに移ったのは3か月も過ぎた頃でした。
結局1年後、振り返ってみたら、今まで飼ったブヒの中で、最も時間と熱意と労力とお金をかけた犬となってました。
半年後、地元の競技大会の部門チャンピオン犬になったときは、泣くほどうれしかったです。
今では、一番言いうことを聞く、ある意味我が家のリーダー犬となっています。
蛇口の前で、水が出るまでいつまでも座り続ける集中力も、ただ単に水が好きなアホ犬ではなくて、今までのしつけの賜物の片りんだと自分に言い聞かせてます。
何でも考えようですね。